第1章

 

・・・この話は、ボクが中3の春のときのはなし・・・。

 

4月のある日。

 

「裕太!早く学校行かないと遅れるよっ!」

うるせーなぁ・・・と思いながらボクは家を出た。

毎朝ボクと一緒に学校へ行っている女の子・・・幼なじみの春野菜摘だ。

顔は美形でもなければ不細工でもなく、明るすぎて活発なヤツだ。

・・・まぁ、無理やり一緒に学校行かされてるんだけど。

「今日は修学旅行のことで学年集会がある日だねっ。大変でしょ?クラス委員も。」

「ってゆーかつかれるよ、ほんとに。おまえはいいよな、委員会なしで、疲れなくて。」

「あたしはあたしで疲れるときはあるのっ。ストレスたまってるのよ、悩んでるから。」

「おまえにも悩みあるの?しんじらんねぇ・・・」

「あたしだって悩みくらいあるわよ。毎日顔あわせててわかんない?あんたは鈍感なのよ。」

・・・鈍感って言われたかねーよ・・・

「・・・で、どんなことで悩んでんだ?」

「・・・それは、ひ・み・つ!」

「・・・はぁ?よくわかんねぇやつだな。」

 

そんな感じで学校へ着いた。いつものことなんだが。

「じゃぁまったねー♪」

そう、ボクは1組だけど、アイツは2組だから、ここでやっと別れられるわけだ。

休憩時間たまに来るけど。

 

いつも通りの午前の授業を終えて、昼休み。

僕はクラス委員だから、一応午後の学活のことで会議がある。

「さーてこれから大変ね。」

・・・と言っている彼女は、ボクのクラス委員の相棒、西野由香。

学年1の美女と言われているが、ボクはそんな美人に思えない。

性格は至って明るい。菜摘ほどではないが。(アイツは例外だ…)

「くそー、昼休みつぶされた。最悪だ。」

「仕方ないじゃない。さっさと終わらせて休みにすればいいでしょ。」

それから、修学旅行のことであれこれ言ううち、昼休みが終わってしまった…

 

帰りの学活も終わり、部活の時間だ。

ボクはサッカー部。メンバーが少ないのでレギュラーだが、自分でもあまりうまいと思わない。

ポジションは一応MFだ。

どうせ夏で終わっちゃうんだけど。

「あっ、来島くん?今日はインターバルトレーニング一人20分してからシュート練習だって。」

部室で声をかけてきたのは、サッカー部マネージャーの水木桜子。

どっちかと言えばおとなしいヤツ。普段はかわいいが、キレると恐ろしい。

ボクも半殺しにされたくらいだから。

・・・しっかし、インターバル20分というのはきついぞ・・・

「・・・あとさ、次の休憩の時あたしのところに来てくれない?話があるから。」

「わかった。」

何の話なんやろ?・・・ってその時は思ってた。まさかあんな話をされるとは、そのとき、夢にも思っていなかった。

 

   つづく

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