第4章

 

 ・・・どうして・・・

 ・・・どうしてこんなことに・・・再び思う。

 あれから、菜摘は特に変わりはしなかった。

 水木にしても、西野にしても、やはりあまり変わりはしなかった。

 ・・・わからない。自分はどうすればいいのか。

 でも、大事なことがもうすぐ、ある。

 修学旅行だ。ボクはクラス委員なのでとことんいそがしい。

 行き先は広島。ここからなら東京の方が良かったなぁ・・・。まぁいいか。

 

 修学旅行をあさってに控えた日。クラス委員最終打ち合わせがあった。

 「・・・ねぇ、結局・・・返事は?」

 と西野。

 「・・・まだ考え中だよ。」

 彼女は、ボクが3人にコクられたことを知っている。どう思っているんだろうか。

 本当に複雑な気持ちだ。

 実際、ボクは修学旅行のことより、こっちのことで頭がいっぱいだった。

 「いつ返事してくれるの?」

 「・・・わからない。」

 「はっきりしてよ!」

 そんなこと言われても、なんて返事すればいいのかわからないって。そう言いたかったけど、

 言えない。

 

 そんなこんなで、1週間が過ぎ、修学旅行をあさってに控えた日。

 ボクはふと、小学校の卒業アルバムを手にした。

 「あのころはよかったなぁ・・・」

 いまとなっては、いろいろなことで悩む自分がいる。どうしたらいいのか。

 気楽だったあの頃を思い出す。

 修学旅行もエンジョイできるかどうか、心配だ。

 

 修学旅行前日。

 「ちょっといいか?」

 なんだろ?岸田がボクを呼び止めた。

 「なんか用?」

 「おまえさ、水木にコクられたんだろ?」

 「だからなんだよ。」

 「おまえは水木のこと好きなのか?」

 「ううん。あんまし。キライじゃないけどな。」

 「そっか・・・」

 ・・・?・・・。・・・!もしかして・・・

 「おまえもしかして水木のことを・・・」

 「言うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 マジ?これはちょうど都合が・・・よくないか。

 「そーなんかぁー。ほんじゃぁ水木に言ってきたろか?」

 「やめてくれぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

 ひゃー、よけいに困った。

 まさか親友が・・・こんな、ねぇ。

 どないすればいいんやろ。

 とりあえず「修学旅行でコクれば?」と言っておいたけど。

 ・・・うーん、どうすればいいのかな。

 混乱。混乱。混乱。

 修学旅行、どうなるんだろ。

 

 つづく

 

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