第7章

 

 あわただしかった修学旅行も終わって1週間が過ぎた。

 すっかり、もとの学校生活に戻っている。

 今日も、のんびりとした学校生活をすごしていた。

 

 その日の昼休み。ボクは、やることもなく、図書室で借りた本を読んでいた。

 そこへ、突然やってきたのは、矢野由里(やのゆり)だった。

 菜摘の親友で、うちのクラスのムードメーカー的存在だった。

 「ねぇ、修学旅行から帰ってきてから、みょーに菜摘がおとなしいんだけど、なんかあったの?」

 「何でボクに聞くんだよ。」

 「だって、あんたたち仲いいしさ。それに・・・」

 「・・・それに、なんだよ。」

 「・・・あんた、ナツミにちゃんと返事したの?告白されたんでしょ?」

 「まだだけど。」

 「・・・まったく。あんたって自分の気持ちに正直じゃないわねぇ。」

 「・・・どういう意味だよ。」

 「あんたってさ、ぜったい、心の中でナツミの事気になってるんだよ。」

 「んなあほな。」

 「じゃぁなんで一緒に学校来たり休み時間とか一緒にいられるわけ?」          (いいなー裕太は。 by作者)

 「それは、アイツの方から来るから、やれやれって言う感じで・・・」

 「うそ。あんたってホント鈍感だよね。」

 「うるせーっ。菜摘と同じ事言いやがって。」

 「心の中である程度好きじゃなきゃ、そこまで出来ないよ、普通は。」        (じゃぁボクは一体・・・by作者)

 「・・・」

 「ナツミはね、ずぅっと前から本気であんたのこと好きだったのよ。」

 「・・・」

 「・・・考えておきなよ。」

 そう言って、由里は教室を出ていった。

 

 「・・・どうしたんだよ、ユウタ。さっきからボーっとして。」

 「あぁ。もしかしたらボクってさ・・・」

 「?」

 「あ、なんでもない。」

 「・・・何言ってんだよ。まったく。」

 言えない。誰にも言えない。横で声をかけているリュウにも、ショウヘーにも、みんなにも言えない。

 ボクは本当にアイツのことなんか気にかけてるのかな・・・

 いや、案外そうかもしれない。

 わざわざ家にまで迎えに来て一緒に登校できたのも、アイツだったからかもしれない。

 幼なじみだから、いつの間にかボクも・・・?

 いや、そんなはずはない。ボクが恋するはずがない。

 そう言い聞かせて、そしてそう思いたくて・・・

 

 時は流れてゆくばかりなのだった。

 

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